大山は古くから神様のおられる山として、ふもとで暮らす人々の心のささえでした。ある日、大山の山頂にお地蔵さまがあらわれました。生きているすべてのものを救ってくれるお地蔵さま、それをまつる大山寺では、お地蔵さまが人だけでなく、牛や馬も守ってくれると唱え、お札を配りました。その話を聞いたたくさんの人々が、家族の安全を願いながら、牛や馬をつれて大山にお参りをするようになりました。やがて多くの馬や牛がつどうようになって、牛馬の市が開かれるようになりました。そして、明治時代には日本最大の牛馬市に発展しました。牛馬市はやがて幕を閉じましたが、大山寺に続く古道・大山道には今も石畳道、宿場の街並みがのこり、大山おこわや大山そばなどの伝統食、大山の水にまつわる行事や風習などが今に伝わっています。そして、ふもとの人々はいつも「大山さんのおかげ」と感謝の気持ちで大山を仰ぎ見るくらしをしています。この大山のさまざまな歴史に光をあて、建物や人々の生活の姿、習慣などを結んだ物語が「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市」として、平成28年4月、日本遺産に認定されました。
日本遺産とは…文化庁が平成27年度に創設した制度で、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを設定し、地域が主体となり、総合的に整備・活用することで、地域の活性化を図るものです。